ヨーロッパの愉しみ、ニュースと生活密着情報
乳製品は安定して好まれる
大学Universität St. Gallenの調査によると、スイスでは意識的に食肉の消費を減らす動きが出ている一方で、牛乳製品は依然として好まれている。大学の商業研究所IRM-HSGが3年間にわたり行った調査で、食肉を減らす、いわゆるFlexitarismusの動きが出ている一方、菜食主義はほとんど伸びていない。カラスムギや大豆を使った牛乳代替え食品は段々と広がっているが、牛乳と競合する段階にはまだ達していない。2022年と2024年の間に肉や魚を食事から減らそうとする人は18.3%から26.6%に増えた。目安とされているのは一週間の消費で食肉が300g、魚介類が200gを超えないというものだと調査の共同責任者Matthias Eggenschwilerは説明する。同じ期間になんでも食べるという家庭は70.6%から63.6%に減った。牛乳や卵は食べるという菜食の家庭は7.8%から8.1%に増えた。動物性の食品を完全に避ける、いわゆるヴィガーンの家庭は0.5%から0.3%に減り、非常に低い割合に留まっている。魚は食べるが肉は食べないという家庭も2.7%から1.3%に減った。一方、乳製品の消費は安定して推移している。植物性代替え食品は1.3%増え、11.5%になったが、64%の人は一度も消費したことがないと答えている。調査が行われた期間は雨の日が多く、バーベキューをする人が少なかったことも肉の消費が少なかったことの原因ではないかと調査者は想像している。2025-01-17IRM-HSGMatthias EggenschwilerFlexitarianism
EUと協定合意
スイスとEUは20の二者間協定と100を超えるその他の協定で合意した。1994年に成立したばかりのEUとスイスとの協定が初めて結ばれ、人物自由往来、貿易障壁の調整、農業、交通、科学研究に関する関係が規定された。当時はスイスが将来、EUに加盟することを想定して交渉が行われた。2004年にはSchengen協定、Dublin規約に関連して移民や亡命についての第二の二者間関係協定が結ばれ、関係は安定すると考えられたが、その後、電力などに関わる問題が出てきた、さらにEU新加盟国の融合が迅速に進められたために、スイスとの関係も見直す必要が出てきた。2008年にEUはスイスとの関係を枠組み協定にまとめることを要求したが、実際の交渉は2014年に始まった。スイスが特恵関係を求めたことがあり、その間に英国のEU離脱が起きたこともあり、遅れ、2021年にはスイス連邦政府が交渉を中断した。そのために、研究計画Horizonからスイスが除外されるなどの事態が起きた。2022年にスイス連邦政府は新たな交渉の可能性を探り始め、技術貿易、電力、食品安全などを含む協定の合意が今、やっと実現した。2025-01-14二者間協定BrexitHorizon
今年変わること
2025年に発効する法律や政令は多数あるが、知られていないものは少なくない。まず、外国で買い物をして無税でスイスに持ち込める限度が一人当たり150フランに引き下げられる。同性愛を理由として献血を拒むことが違法となる。12月28日以来、販売される小型電子機器のUSB-C端子が義務化されている。英国に旅行しようとするものには4月2日から11フランの電子入国許可ETAが義務となる。子供手当が全州で月額、200から215フランに引き上げられる。不要に排気音を大きくするマフラーの改造が禁止される。FMラジオが停止され、デジタルラジオDAB+に移行する。電力料金が平均10%引き下げられ、平均家計で年間140フランほどの節約となる。公共の場で顔を覆う服装をすることに対して1000フランまでの罰金が課される。これには宗教施設、カーニヴァル、健康上の理由や寒さを防ぐ目的などの例外が設けられている。国民基礎年金AHVの支給額が2.9%、引き上げられる。これは最低年金額の場合、35フランに相当する。2025-01-02
新連邦大統領
7人の連邦大臣が1年ごとに持ち回りで受け持つ連邦大統領にKarin Keller-Sutterが昨日、就任した。彼女はSt.Gallenの出身で、経済政党FDPに所属し、内務担当の大臣だ。就任の挨拶では、良い意味での慎ましさはスイスの伝統的な価値で、様々な組織が助け合って機能していくことが基本的な条件だと話した。2025-01-02Karin Keller-Sutter
FMラジオ終了
公共放送を傘下に持つSRGは政府の決めた方針に従い2025年1月1日0時に超短波ラジオ放送(FM)を停止した。ドイツ語放送局SRF,フランス語放送局RTS, イタリア語放送局TSIのすべての放送が対象で、ラジオ放送はデジタルのDAB+が主力となる。政府の決定はコストが主な理由で、全国をカバーするためにはFM放送では850のアンテナが必要だが、DAB+ではそれが260で十分だという。Bakom連邦通信局では、現在FMラジオを聴いているのは住民の10%で、2015年に放送が開始されたDAB+の聴取者はだんだんと増え、2023年には41%に達し、インターネットでラジオを聴いている人は39%だとされている。ただし自動車に装備されているラジオの33%はまだFMで、問題の一つだが、Bakomは今後、遠くない時期にデジタルラジオ放送が主力となると予想している。民間放送の多くは今後少なくとも1年間はFM放送を続ける方針だ。2025-01-02SRGDAB+Bakom
国民投票
昨日行われた国民投票で連邦段階では3発議が否決され1発議が承認された。承認されたのは医療費負担の全国的な標準化で、居住地によってコスト負担が異なる現状を改善しようとするものだ。否決されたのは高速道路の拡充、不動産の自己使用条件の簡易化、住居の下貸し禁止の容易化だ。すべての発議でドイツ語圏の賛成、フランス語圏の反対が鮮明だ。医療費負担発議がドイツ語圏で強く支持されたのは、医療保険会社と医療者の権限がフランス語圏に比べて強いため、住民は改革の必要を感じているためだと説明されている。高速道路拡充への反対はフランス語圏に加えてイタリア語圏やチューリヒでも多数となった。自動車交通の悪影響が強い地域であることが原因と見られる。住宅に関する二つの発議もフランス語圏とチューリヒの反対が強かった。2024-11-25
ウサギ看護施設
アアルガウ州のRohrでJanina Minderが6年前に始めたウサギ保護施設Kaninchenhoehleはその38のポストは常に満員だ。スイスで飼われている家ウサギの数はむしろ減っているにも関わらず、この施設に動物を預ける人の数は増えている。多くの飼い主はウサギが屋外での運動を必要としていることを軽視するために、やがて手に負えなくなり、施設に預けることになる。施設ではボランティアが働いており、必要経費は多くは個人の寄付によって賄われているが、いくつかの財団も援助している。しかし、月に1000から2000フランかかる餌や施設の保全のためにはそれだけでは足りなく、獣医従業者として働いているMinderも個人的に費用を補填している。預けられる動物は多くはひどい状態で、その治癒のために多くの人手が必要だ。12人のボランティアが力を尽くしているが、時にはMinderは夜通し看病しなければならない。2024-10-31RohrKaninchenhoehle
遅れる軍のIT整備
IT整備でトラブルが続いているスイス軍VBSだが、今度は輸送部門でのIT導入で困難が伝えられている。国会は2020年に2億4千万フランの予算をその整備に許可しているが、SAPのリソース計画ソフトウェアERP Systeme V/arの導入を中断すると国会の報告書で発表された。8段階で実施される計画だが、第7段階で中断される。兵士の動員、食料、戦闘機配備などの管理にあたるITシステムだが、特に輸送部門の管理は困難が予想され、軍が期待されるように機能するのは2035年になると軍総司令官Thomas Süssliも認めている。2024-10-23VBSERP Systeme V/arThomas Süssli
金がカネを生む?
Universität St. Gallenサンクト・ガッレン大学が貴金属商Philoro Schweizの協力で行った調査で、スイス住民が保有している金の総量は200トン程度であることが分かった。これは現在の価格では150億フランの価値がある。平均所有量は100gで、現在の価格では7500フランに値する。最近2年間で金価格は大幅に上昇したが、最近6か月の上昇率は高く、40%値上がりした。世界市場での現時点での価格は1オンス(28.35g)2700USドルで、Bank of Americaのアナリストは間もなく3000ドルを超すと見ている。スイス住民の所有財産は価格では不動産が最も多く、銀行口座などがそれに続く。金は第4位となっているが、最近の価格上昇で順位を上げた。2年前にはインフレーション予防対策として金を保有する人が多かったが、現在は利益を得るために金を買う人が増えている。調査対象者の39%は金を銀行に預けているが、18%が自宅の金庫に、9%が貴金属商に保管を依頼している。しかし、15%の人は自宅にそのまま保管し、5%は庭に埋めている。Philoro Schweiz社長のChristian Brennerはその額に驚きを見せるが、保管料の高さと、銀行に対する不信が原因だと分析する。2024-10-23Universität St. GallenPhiloro SchweizBank of America
中国人の刃物事件
10月2日にチューリヒで23才の中国人学生が3人の5才児に刃物で襲い掛かり、一人が重傷を負った。治療を受けていた児童は生命の危機を脱したと発表されているが、社会に与えたショックは大きい。英国やドイツでも同様の事件が起こっているが、中国でも近年、同様の事件が頻発していることが報道されている。最近も日本人児童が襲われて死亡し、6月にも52才の男が深圳の日本人学校の前で親子を刃物で襲い、二人を守ろうとした中国人女性車掌が刺されて死亡したという事件が起こっている。この月曜日には上海のスーパーマーケットで3人のUSA市民が殺され、6月には北東部でUSA市民が襲われて負傷している。2023年には広東省で幼稚園を襲った男たちが幼児3人を含む6人を殺害する事件が起こっている。今年はこのような事件が多くなっているが、これまでも傷害事件の頻発の波が何度か起こっている。2010年以来、37件の同様の事件が起こっており、被害者は子供であることが多い。最近の10年では17件の事件が起こっており、2010年から2012年にかけては学校を襲う事件が頻発した。そのため、登下校時には学校を、時には戦闘服を着た警官が警備するようになっている。また、スーパーマーケットで刃物を買うためにはIDやパスポートを登録しなければならなくなっている。また、このような事件の報道記事やSNSの書き込みは中国では迅速に消去されるが、チューリヒの事件の容疑者についても中国系のメディアからは消去されている。2024-10-04チューリヒ深圳日本人学校刃物
波乱なし、国民投票
昨日22日に行われた国民投票で連邦レベルの2発議は予想通りはっきりと否決された。市民政党が推す職業年金改革案と環境運動団体が提起した生物多様性発議がそれで、年金制度を変えようとする試みは3度続けて拒否され、生物多様性の発議は内容があまりに厳しすぎるのが否決の理由だとされている。業年金改革案は反対67.1%で、全ての州で否決され、生物多様性発議は反対63%で、ジュネーヴとバーゼル市州だけが賛成が上回った州だった。一方、地方では小都市MoutierがBern州からJura州に移ることがやっと決まった。前回の住民投票でも賛成が上回ったが、投票用紙の不備のため無効とされた。2024-09-23職業年金改革生物多様性Moutier
WorldSkills
9月10日から15日までフランスのLyonで開かれていた、ほぼ隔年開かれ、今年が47回目となる非アカデミック職業の技能コンテストWorldSkillsには70の国や地域の1400人の若者が参加して技術を競った。建具職からサイバーセキュリティまで52種目で好成績を収めるには個人の能力だけではなくチームワークも重要な要素とされる。59人が参加して、36の金メダルを獲得した中国が最高の成績を収め、二位には金メダル10の韓国が入った。日本は金メダル5個でヨーロッパの国で最高位のスイスに次ぐ4位だった。5位には台湾が入り、極東が強さを見せた。39人が挑戦したスイスは合計14のメダルを獲得したが、Heavy Truck Maintenanceで金メダルのSophie Schumacher、Car Paintingで銀メダルのLara Kaufmannの二人の女性が目を引く。なお、2028年のWorldSkillsは日本の愛知で開かれることが決まった。2024-09-17WorldSkillsSophie SchumacherLara Kaufmann
突然、夏の終り
つい数日前まで夏の天気が続いていたスイスが突然、寒さに襲われている。ベルン・オーバランドのGrimselからWallis/Valais州にかけて雪嵐となり、車の通行が不可能になった。木曜日の夜から今朝にかけて30㎝の積雪があったが、夏でも降雪のために通行止めとなるアルプスの峠でも、これほどの激しい雪は珍しい。他の地方でも標高1500mまで降雪高度が下がり、標高1800mのArosaなどでは道路が雪に覆われ、最高気温は0度だったが、これは平年よりも12度低い。これから土曜日にかけて降雪高度は1100m程度まで下がる予想で、寒さはしばらく続き、アルプスの北で気温が20度を超えるのは来週半ば以後となる模様だ。一方、アルプスの南、Ticinoでは北フェーンの影響もあり、明日は好天で、気温も20度を超える予報だ。2024-09-13GrimselArosaTicino
Gotthardトンネル再開
2023年8月10日に貨物列車の車両破損が原因の脱線事故により大きく損傷したGotthard鉄道トンネルが一年余りの工事を終え、全面的に再開した。SBBスイス連邦鉄道は通常の運行を開始した。工事中は事実上、全ての旅客列車はアルプス超えの旧路線を通じて運行されていたが、トンネルの再開で運行時間は1時間前後、短縮される。Ticino州の観光機関Ticino TurismoのAngelo Trottaはこの間の損失は少なくとも1千万フランに上ると語った。ドイツ語圏からの観光客は15%以上、減ったという。正常ダイヤではLugano‐Zürich間は1時間50分、Lugano‐Luzern間は1時間45分で結ばれる。この路線を使って通勤している人は延べ16400人と見積もられている。30分タクトの運行も再開され、以前は35000だった座席数が40000席に増える。運行時間が最も短縮されるのはUri州の首都AltdorfとTicino州の首都Bellinzonaの間の路線で、山越え路線では1時間30分だったが、これが30分足らずになる。SBBではこの運行不能期間のコストは1億5千万フランになると試算している。大多数の事例については保険がかけられているが、その支払いについての法的手続きはまだ、長く続くと見られる。2024-09-02Gotthard鉄道トンネルTicino TurismoSBB
年金アップデート
AHV/IV国民基礎年金/障碍者年金の最低月額が2025年、35フラン引き上げられ、1260フランとなる。最高額は70 フラン上がり2520フランとなる。払い込みも年514から530フランに引き上げられる。任意払い込みは980から1010フランに上がる。これに伴う国家からの支出はほぼ17憶フラン増える。子供手当は月額、200から215フランに増えるが、手当支給を実施しているのは7の州だけで、これらの州では自動的に支給額が引き上げられる。学業手当は250から268フランに引き上げられるが、自動的に適用されるのは6の州だけだ。家族手当が引き上げられるのは2009年の家族手当法改正以来初めてだ。職業年金の税控除は25725から26460フランに引き上げられ、払い込み義務が生じる年収は22050から22680フランに引き上げられる。最低年収を下回る場合、払い込は免除されるが、年金は国民基礎年金だけとなる。年金の第三の柱、任意積立の免税額は年間7056フランから7258フランに引き上げられる。自営業者など職業年金を持たない人の場合は任意積立の免税額は35280フランから36288フランにあげられる。生活援助金は一人家計の場合、20100から20670フランに、夫婦家計では30150から31005フランに、11才以上の子供の場合は10815フラン、11才以下の場合は7590フランに引き上げられる。都市圏の家賃高騰に伴う援助金は18900フラン、都市では18300フラン、地方では16680フランとなる。暖房費や住宅管理費の援助金は3060から3480フランに引き上げられる。免税最高金額は一人家計で1000から1300フランに、夫婦家計と子供のいる家計ではでは1500フランから1950フランに引き上げられる。2024-08-31AHV/IV職業年金任意積立
卵のうちに雌雄判別
2027年から鶏の雄雛を殺処分することが禁止されることを受けて、卵の状態で雄雌を判別する装置が導入される。現在、雄のヒヨコは孵化した直後に判別され、CO₂により殺され、有機ガスや飼料の原料とされている。これを痛みを感じないとされる産卵後11から12日目までに処分することにで動物虐待を避けるとされる。業界団体Gallosuisseでは2025年初に大手事業所での導入が始まり、年内には計画を完了するとしている。2020年に雄のヒヨコを機械的に細断することが禁止されて以来、CO₂による殺処分が行われてきたが、これで業界の倫理的立場を明らかにすると業界団体は表明している。この決定は鶏卵業界だけではなく、全ての付加価値流通網の関係者が協力して探って来たことの結果だとされる。2024-08-31Gallosuisse雄雛殺処分付加価値流通網
脱脱原発
福島第一原子力発電所の事故の印象の中で決められたスイスの脱原発だが、13年経った今、連邦内閣は原子力発電の開発を再び可能にする方針を閣議で決定した。この案は議会で承認される必要があるが、各方面で賛否両論が戦わされている。電力企業各社ではしかし、建設に最低でも20年かかり、事故が起こった場合の経済的負担を企業自体が耐えられないという事実があり、原子力発電所の新設には慎重だ。ただ、原子力発電禁止の枠が外されることは大きな影響を持つとスイス電力企業団体のClaudia Egliは話し、選択肢が増えることは将来にとって重要だと語った。電力企業大手AxpoのMartin Stuckiは、今必要とされているのは短期間で電力供給を増やすことで、原子力発電の開発は時間がかかりすぎると話し、原子力発電所を新設できるのは国家が直接、自らの手で建設できる場合だけだとの考えを示した。反原子力のエネルギー財団のNils Epprechtはこの内閣の決定に怒りを示し、核エネルギーは誰も必要としていないと批判する。また、原子力発電の開発には国家からの巨額の助成が必要で、それによって新エネルギーの開発に向けられる財源が削がれることも問題だと話す。連邦内閣の提案は今後、公聴会にかけられるが、最終的には国民投票での決定が必要になると見られる。2024-08-31脱原発連邦内閣Nils Epprecht
アルプス農家
Jonas KochとLinda Zaiserはこの夏、初めてアルプスで過ごす。観光ではなくアルプス農家の従事者としてだ。彼らはドイツの大学Universität Kasselで農業環境学を専攻している。すなわち、アルプスでの農業経験は彼らの研究と結びついている。それだけではなく、Kochはこの短期間の規則的な生活が気に入っている。彼のパートナーは自立した活動と、チーズの製造過程を始めから終わりまで経験できることに意味を見出している。二人はアルプス農業マッチングプラットフォームzalp.chを通じてアルプス農業マスターDario Zinsliと3か月間の契約を結んだ。彼らのチームのリーダーは初めて求職広告を出して採用されたKevin Skarplikはアルプス農業プロジェクトの責任者になったことを喜ぶが、アルプス農牧場に妻と二人の子供を連れて行けるという実用的な理由もあった。更に、給与も魅力的で、オーストリアと比べて2倍近くだという。約6700ある、アルプス農場では夏の間、17000人ほどが働くが、そのうち2200人程は外国から来る人たちで、多くはドイツ、オーストリア、フランス、イタリア、ポーランド、スロヴェニアからだ。アルプス経済組合の運営者Selina Drozは人集めが大変だと話し、Zinsliは多くの人には忍耐力が欠けていると付け加える。一般的に女性のほうが信頼性があるという。またロマンティックな想像で応募する人も少なくないが、アルプスでは四六時中、動物の世話をしなければならず、狼の脅威もあるという現実が忘れられることが多いという。Zinsliは人を集めることの切り札は何といっても給与だとするが、他にも重要な要素があると言う。それは、農場経営の質と社会保障の充実だ。これらの点の改善を計るための計画Motiviertes und treues Alppersonal - Rahmenbedingungen für den Arbeitsort Alpで、一回限りではなく多数年にわたってアルプス農業に就く人を見出す試みが行われている。計画は農業森林食料専門大学Hafl,スイスアルプス経済組合SAVと連邦農業局 BLWの協力で行われており、とりあえず2025年7月まで続けられることになっている。計画の分析結果によっては更に1年延長されることもあるとされる。2024-08-29zalp.chSAVMotiviertes und treues Alppersonal - Rahmenbedingungen für den Arbeitsort Alp
コロナ裁判
連邦裁判所は2022年に起こされたコロナ危機に際しての連邦の措置は違法であるという告訴を退ける判断を発表した。訴えはコロナ危機に際して2022年までに連邦政府が行った措置は法的な根拠がなく、ウイルスの危険性を明らかにする根拠も示されておらず、基本的人権を侵すものだとして、1万人ほどの原告に象徴的な一人当たり1フランの補償金を払うことを求めるものだ。Lausanneの連邦裁判所で行われた裁判で判事はこの訴えを却下すると口頭で伝えた。判決文は後に発表するとしている。2024-08-29連邦裁判所コロナ危機連邦政府
減る年金
10年後に年金年齢を迎える現在55才の人の年金は2002年から2024年の間に20%減った。チューリヒの財産センターVermögenszentrums VZが算出した数字で、実数では年間平均15000フランの減少となる。国民基礎年金AHV/AVSは物価上昇率に合わせて同期間に19%増えたが、第二の柱、職業年金は39%の大幅な減少となった。職業年金金庫は利率を引き下げ、義務を上回る転換率を平均余命の上昇に合わせて引き下げた。2002年には職業年金が基礎年金の2倍の払い出し額となっていたが、現在はほぼ同額となっている。実態はもっと悪く、10年後に実際に払い出される金額は2002年には75000フランと見積もられていたが、現在の計算では70000フランとなっている。VZでは状況はさらに悪化すると見ており、その理由を最低利率がこの数年で4から1.25%まで下がったことだとしている。この利率は最低義務利率で、多くの年金金庫が行ってきた義務を超える利率の適用は大きく減る。年金の保証額は50年前に政治的に定められたもので、最後の給与の60%を下回らないというものだが、これを守る年金金庫は減り続けている。20年前には年金手取り額は平均で最後の給与の62%となっていたが、現在では52%で、目標を大きく下回っている。高額所得者では減り方がもっと大きく、年収150000フランの場合、2002年にはまだ58%だったが、現在は43%まで下がっている。基礎年金が3分の2を占める低所得者ではこの影響は小さい。2024-08-20Vermögenszentrums VZAHV/AVS職業年金
ジュネーヴ条約75年
昨日、2024年8月12日、戦争下でも人道精神が守られることを誓う1949年の第4ジュネーヴ条約が締結から75年となった。あらゆるところでこの条約が破られている現状から、意味のないものだという批判が出されているが、国際赤十字の総裁Mirjana Spoljaricは記念式典で、各国に政治的な優先性を見直し、国際人権法を世界平和への一つの道とすることを求めた。更に、近東戦争の当事国に和平のためにより多くの努力をすることを求め、スーダンに和平交渉に留まることを求めた。条約が守られないことは問題だとしながらも、民間市民の保護のためにはこの条約が最も強いツールだと強調した。ジュネーヴ条約が初めて合意されたのは1864年8月22日のことで、これも今年が150年の記念の年となる。当時、調印したのは12か国だったが、現在の加盟国は195となっている。最初の条約の重点は戦争時に負傷兵を殺処分することを禁じることだったが、ナチスドイツの全面戦争を受けて1949年に改正条約が締結され、さらに1977年にはあらゆる兵器を使う戦争から民間人を守ることが謳われた。2024-08-13ジュネーヴ条約国際赤十字Mirjana Spoljaric
Street Parade
先週末、8月10日、チューリヒで恒例のStreet Paradeが行われ、去年と同じ程度の92万人が世界最大のテクノの祭典に集まった。28台のLove Mobilesが湖を囲む沿道に設えられ、今年のモット―Prefer:Toleranceに合わせるように7の舞台でのパフォーマンスに合わせて人々は自由に踊った。覚醒剤法違反や窃盗で29人が逮捕され、橋Quaibrückeの近くで泳いでいた人々が排除され、交通法違反のボートは退去を命じられた。救急救命チューリヒのメンバー520人は729人を手当てしたが、そのうち4人は重傷を負っていた。祭典の広報担当者Stephan Epliは好天に恵まれたこともあり、多くの人々がチューリヒに集まり、人生を謳歌したことに大いに満足していると語った。公式の飲食品販売所では2023年以来、PETボトルとアルミ缶には預り金がかけられ、返すと返金される仕組みが取り入れられ、ゴミの減量に努めている。また、負傷の危険性があるため、ガラス瓶は禁止されており、訪問者にも持ち込まないように検査が行われた。Raveと呼ばれる参加者たち、組織者共に全体としては平穏理に行われたとして、成功だったと表明している。2024-08-12Street ParadeLove MobilesQuaibrücke
国民の祝日
今日8月1日はスイスの国民の祝日で多くのところでは花火で祝われるが、Baselでは昨日の夜、ライン河岸で既に花火が打ち上げられた。Basel市州警察の発表によると、9000人が集まり、公的私的な花火の夕べを楽しんだ。警察は目に見える形でパトロールしたが、それでも規則に従わない人がおり、人込みに向けて花火を打ち上げたり、殴り合いにをするなどの事例があり、警察が介入したが、一人の女性が警官に暴力をふるおうとして身柄を捕獲された一件を除いては概ね問題なく平穏だった。消防も出動は1件だけで、燃えるコンテナーを消火した。救急出動は7件で、その大部分はアルコールの過剰摂取による意識障害だった。民間救護団体は12人の軽い怪我をした人を手当てした。今日の本番では連邦大臣7人が延べ13の演説や挨拶を行うことになっている。280ほどの農家はブランチを提供し、10万人程が祝祭行事に参加する。前日に辞任のうわさが流れた連邦大統領Viola Amherdはそのスピーチでスイスの価値の擁護を訴えた。伝説のスイス建国の英雄Wilhelm Tellの町Altdorfでは多くの若者が彼が息子の頭に載せたリンゴを矢で打ち抜いた人という知識しかない状況を踏まえて、12か所に説明版が設置されたテルの道のお披露目が行われた。2024-08-01BaselViola AmherdAltdorf