ヨーロッパの愉しみ、ニュースと生活密着情報
中国人の刃物事件
10月2日にチューリヒで23才の中国人学生が3人の5才児に刃物で襲い掛かり、一人が重傷を負った。治療を受けていた児童は生命の危機を脱したと発表されているが、社会に与えたショックは大きい。英国やドイツでも同様の事件が起こっているが、中国でも近年、同様の事件が頻発していることが報道されている。最近も日本人児童が襲われて死亡し、6月にも52才の男が深圳の日本人学校の前で親子を刃物で襲い、二人を守ろうとした中国人女性車掌が刺されて死亡したという事件が起こっている。この月曜日には上海のスーパーマーケットで3人のUSA市民が殺され、6月には北東部でUSA市民が襲われて負傷している。2023年には広東省で幼稚園を襲った男たちが幼児3人を含む6人を殺害する事件が起こっている。今年はこのような事件が多くなっているが、これまでも傷害事件の頻発の波が何度か起こっている。2010年以来、37件の同様の事件が起こっており、被害者は子供であることが多い。最近の10年では17件の事件が起こっており、2010年から2012年にかけては学校を襲う事件が頻発した。そのため、登下校時には学校を、時には戦闘服を着た警官が警備するようになっている。また、スーパーマーケットで刃物を買うためにはIDやパスポートを登録しなければならなくなっている。また、このような事件の報道記事やSNSの書き込みは中国では迅速に消去されるが、チューリヒの事件の容疑者についても中国系のメディアからは消去されている。2024-10-04チューリヒ深圳日本人学校刃物
波乱なし、国民投票
昨日22日に行われた国民投票で連邦レベルの2発議は予想通りはっきりと否決された。市民政党が推す職業年金改革案と環境運動団体が提起した生物多様性発議がそれで、年金制度を変えようとする試みは3度続けて拒否され、生物多様性の発議は内容があまりに厳しすぎるのが否決の理由だとされている。業年金改革案は反対67.1%で、全ての州で否決され、生物多様性発議は反対63%で、ジュネーヴとバーゼル市州だけが賛成が上回った州だった。一方、地方では小都市MoutierがBern州からJura州に移ることがやっと決まった。前回の住民投票でも賛成が上回ったが、投票用紙の不備のため無効とされた。2024-09-23職業年金改革生物多様性Moutier
WorldSkills
9月10日から15日までフランスのLyonで開かれていた、ほぼ隔年開かれ、今年が47回目となる非アカデミック職業の技能コンテストWorldSkillsには70の国や地域の1400人の若者が参加して技術を競った。建具職からサイバーセキュリティまで52種目で好成績を収めるには個人の能力だけではなくチームワークも重要な要素とされる。59人が参加して、36の金メダルを獲得した中国が最高の成績を収め、二位には金メダル10の韓国が入った。日本は金メダル5個でヨーロッパの国で最高位のスイスに次ぐ4位だった。5位には台湾が入り、極東が強さを見せた。39人が挑戦したスイスは合計14のメダルを獲得したが、Heavy Truck Maintenanceで金メダルのSophie Schumacher、Car Paintingで銀メダルのLara Kaufmannの二人の女性が目を引く。なお、2028年のWorldSkillsは日本の愛知で開かれることが決まった。2024-09-17WorldSkillsSophie SchumacherLara Kaufmann
突然、夏の終り
つい数日前まで夏の天気が続いていたスイスが突然、寒さに襲われている。ベルン・オーバランドのGrimselからWallis/Valais州にかけて雪嵐となり、車の通行が不可能になった。木曜日の夜から今朝にかけて30㎝の積雪があったが、夏でも降雪のために通行止めとなるアルプスの峠でも、これほどの激しい雪は珍しい。他の地方でも標高1500mまで降雪高度が下がり、標高1800mのArosaなどでは道路が雪に覆われ、最高気温は0度だったが、これは平年よりも12度低い。これから土曜日にかけて降雪高度は1100m程度まで下がる予想で、寒さはしばらく続き、アルプスの北で気温が20度を超えるのは来週半ば以後となる模様だ。一方、アルプスの南、Ticinoでは北フェーンの影響もあり、明日は好天で、気温も20度を超える予報だ。2024-09-13GrimselArosaTicino
Gotthardトンネル再開
2023年8月10日に貨物列車の車両破損が原因の脱線事故により大きく損傷したGotthard鉄道トンネルが一年余りの工事を終え、全面的に再開した。SBBスイス連邦鉄道は通常の運行を開始した。工事中は事実上、全ての旅客列車はアルプス超えの旧路線を通じて運行されていたが、トンネルの再開で運行時間は1時間前後、短縮される。Ticino州の観光機関Ticino TurismoのAngelo Trottaはこの間の損失は少なくとも1千万フランに上ると語った。ドイツ語圏からの観光客は15%以上、減ったという。正常ダイヤではLugano‐Zürich間は1時間50分、Lugano‐Luzern間は1時間45分で結ばれる。この路線を使って通勤している人は延べ16400人と見積もられている。30分タクトの運行も再開され、以前は35000だった座席数が40000席に増える。運行時間が最も短縮されるのはUri州の首都AltdorfとTicino州の首都Bellinzonaの間の路線で、山越え路線では1時間30分だったが、これが30分足らずになる。SBBではこの運行不能期間のコストは1億5千万フランになると試算している。大多数の事例については保険がかけられているが、その支払いについての法的手続きはまだ、長く続くと見られる。2024-09-02Gotthard鉄道トンネルTicino TurismoSBB
年金アップデート
AHV/IV国民基礎年金/障碍者年金の最低月額が2025年、35フラン引き上げられ、1260フランとなる。最高額は70 フラン上がり2520フランとなる。払い込みも年514から530フランに引き上げられる。任意払い込みは980から1010フランに上がる。これに伴う国家からの支出はほぼ17憶フラン増える。子供手当は月額、200から215フランに増えるが、手当支給を実施しているのは7の州だけで、これらの州では自動的に支給額が引き上げられる。学業手当は250から268フランに引き上げられるが、自動的に適用されるのは6の州だけだ。家族手当が引き上げられるのは2009年の家族手当法改正以来初めてだ。職業年金の税控除は25725から26460フランに引き上げられ、払い込み義務が生じる年収は22050から22680フランに引き上げられる。最低年収を下回る場合、払い込は免除されるが、年金は国民基礎年金だけとなる。年金の第三の柱、任意積立の免税額は年間7056フランから7258フランに引き上げられる。自営業者など職業年金を持たない人の場合は任意積立の免税額は35280フランから36288フランにあげられる。生活援助金は一人家計の場合、20100から20670フランに、夫婦家計では30150から31005フランに、11才以上の子供の場合は10815フラン、11才以下の場合は7590フランに引き上げられる。都市圏の家賃高騰に伴う援助金は18900フラン、都市では18300フラン、地方では16680フランとなる。暖房費や住宅管理費の援助金は3060から3480フランに引き上げられる。免税最高金額は一人家計で1000から1300フランに、夫婦家計と子供のいる家計ではでは1500フランから1950フランに引き上げられる。2024-08-31AHV/IV職業年金任意積立
卵のうちに雌雄判別
2027年から鶏の雄雛を殺処分することが禁止されることを受けて、卵の状態で雄雌を判別する装置が導入される。現在、雄のヒヨコは孵化した直後に判別され、CO₂により殺され、有機ガスや飼料の原料とされている。これを痛みを感じないとされる産卵後11から12日目までに処分することにで動物虐待を避けるとされる。業界団体Gallosuisseでは2025年初に大手事業所での導入が始まり、年内には計画を完了するとしている。2020年に雄のヒヨコを機械的に細断することが禁止されて以来、CO₂による殺処分が行われてきたが、これで業界の倫理的立場を明らかにすると業界団体は表明している。この決定は鶏卵業界だけではなく、全ての付加価値流通網の関係者が協力して探って来たことの結果だとされる。2024-08-31Gallosuisse雄雛殺処分付加価値流通網
脱脱原発
福島第一原子力発電所の事故の印象の中で決められたスイスの脱原発だが、13年経った今、連邦内閣は原子力発電の開発を再び可能にする方針を閣議で決定した。この案は議会で承認される必要があるが、各方面で賛否両論が戦わされている。電力企業各社ではしかし、建設に最低でも20年かかり、事故が起こった場合の経済的負担を企業自体が耐えられないという事実があり、原子力発電所の新設には慎重だ。ただ、原子力発電禁止の枠が外されることは大きな影響を持つとスイス電力企業団体のClaudia Egliは話し、選択肢が増えることは将来にとって重要だと語った。電力企業大手AxpoのMartin Stuckiは、今必要とされているのは短期間で電力供給を増やすことで、原子力発電の開発は時間がかかりすぎると話し、原子力発電所を新設できるのは国家が直接、自らの手で建設できる場合だけだとの考えを示した。反原子力のエネルギー財団のNils Epprechtはこの内閣の決定に怒りを示し、核エネルギーは誰も必要としていないと批判する。また、原子力発電の開発には国家からの巨額の助成が必要で、それによって新エネルギーの開発に向けられる財源が削がれることも問題だと話す。連邦内閣の提案は今後、公聴会にかけられるが、最終的には国民投票での決定が必要になると見られる。2024-08-31脱原発連邦内閣Nils Epprecht
アルプス農家
Jonas KochとLinda Zaiserはこの夏、初めてアルプスで過ごす。観光ではなくアルプス農家の従事者としてだ。彼らはドイツの大学Universität Kasselで農業環境学を専攻している。すなわち、アルプスでの農業経験は彼らの研究と結びついている。それだけではなく、Kochはこの短期間の規則的な生活が気に入っている。彼のパートナーは自立した活動と、チーズの製造過程を始めから終わりまで経験できることに意味を見出している。二人はアルプス農業マッチングプラットフォームzalp.chを通じてアルプス農業マスターDario Zinsliと3か月間の契約を結んだ。彼らのチームのリーダーは初めて求職広告を出して採用されたKevin Skarplikはアルプス農業プロジェクトの責任者になったことを喜ぶが、アルプス農牧場に妻と二人の子供を連れて行けるという実用的な理由もあった。更に、給与も魅力的で、オーストリアと比べて2倍近くだという。約6700ある、アルプス農場では夏の間、17000人ほどが働くが、そのうち2200人程は外国から来る人たちで、多くはドイツ、オーストリア、フランス、イタリア、ポーランド、スロヴェニアからだ。アルプス経済組合の運営者Selina Drozは人集めが大変だと話し、Zinsliは多くの人には忍耐力が欠けていると付け加える。一般的に女性のほうが信頼性があるという。またロマンティックな想像で応募する人も少なくないが、アルプスでは四六時中、動物の世話をしなければならず、狼の脅威もあるという現実が忘れられることが多いという。Zinsliは人を集めることの切り札は何といっても給与だとするが、他にも重要な要素があると言う。それは、農場経営の質と社会保障の充実だ。これらの点の改善を計るための計画Motiviertes und treues Alppersonal - Rahmenbedingungen für den Arbeitsort Alpで、一回限りではなく多数年にわたってアルプス農業に就く人を見出す試みが行われている。計画は農業森林食料専門大学Hafl,スイスアルプス経済組合SAVと連邦農業局 BLWの協力で行われており、とりあえず2025年7月まで続けられることになっている。計画の分析結果によっては更に1年延長されることもあるとされる。2024-08-29zalp.chSAVMotiviertes und treues Alppersonal - Rahmenbedingungen für den Arbeitsort Alp
コロナ裁判
連邦裁判所は2022年に起こされたコロナ危機に際しての連邦の措置は違法であるという告訴を退ける判断を発表した。訴えはコロナ危機に際して2022年までに連邦政府が行った措置は法的な根拠がなく、ウイルスの危険性を明らかにする根拠も示されておらず、基本的人権を侵すものだとして、1万人ほどの原告に象徴的な一人当たり1フランの補償金を払うことを求めるものだ。Lausanneの連邦裁判所で行われた裁判で判事はこの訴えを却下すると口頭で伝えた。判決文は後に発表するとしている。2024-08-29連邦裁判所コロナ危機連邦政府
減る年金
10年後に年金年齢を迎える現在55才の人の年金は2002年から2024年の間に20%減った。チューリヒの財産センターVermögenszentrums VZが算出した数字で、実数では年間平均15000フランの減少となる。国民基礎年金AHV/AVSは物価上昇率に合わせて同期間に19%増えたが、第二の柱、職業年金は39%の大幅な減少となった。職業年金金庫は利率を引き下げ、義務を上回る転換率を平均余命の上昇に合わせて引き下げた。2002年には職業年金が基礎年金の2倍の払い出し額となっていたが、現在はほぼ同額となっている。実態はもっと悪く、10年後に実際に払い出される金額は2002年には75000フランと見積もられていたが、現在の計算では70000フランとなっている。VZでは状況はさらに悪化すると見ており、その理由を最低利率がこの数年で4から1.25%まで下がったことだとしている。この利率は最低義務利率で、多くの年金金庫が行ってきた義務を超える利率の適用は大きく減る。年金の保証額は50年前に政治的に定められたもので、最後の給与の60%を下回らないというものだが、これを守る年金金庫は減り続けている。20年前には年金手取り額は平均で最後の給与の62%となっていたが、現在では52%で、目標を大きく下回っている。高額所得者では減り方がもっと大きく、年収150000フランの場合、2002年にはまだ58%だったが、現在は43%まで下がっている。基礎年金が3分の2を占める低所得者ではこの影響は小さい。2024-08-20Vermögenszentrums VZAHV/AVS職業年金
ジュネーヴ条約75年
昨日、2024年8月12日、戦争下でも人道精神が守られることを誓う1949年の第4ジュネーヴ条約が締結から75年となった。あらゆるところでこの条約が破られている現状から、意味のないものだという批判が出されているが、国際赤十字の総裁Mirjana Spoljaricは記念式典で、各国に政治的な優先性を見直し、国際人権法を世界平和への一つの道とすることを求めた。更に、近東戦争の当事国に和平のためにより多くの努力をすることを求め、スーダンに和平交渉に留まることを求めた。条約が守られないことは問題だとしながらも、民間市民の保護のためにはこの条約が最も強いツールだと強調した。ジュネーヴ条約が初めて合意されたのは1864年8月22日のことで、これも今年が150年の記念の年となる。当時、調印したのは12か国だったが、現在の加盟国は195となっている。最初の条約の重点は戦争時に負傷兵を殺処分することを禁じることだったが、ナチスドイツの全面戦争を受けて1949年に改正条約が締結され、さらに1977年にはあらゆる兵器を使う戦争から民間人を守ることが謳われた。2024-08-13ジュネーヴ条約国際赤十字Mirjana Spoljaric
Street Parade
先週末、8月10日、チューリヒで恒例のStreet Paradeが行われ、去年と同じ程度の92万人が世界最大のテクノの祭典に集まった。28台のLove Mobilesが湖を囲む沿道に設えられ、今年のモット―Prefer:Toleranceに合わせるように7の舞台でのパフォーマンスに合わせて人々は自由に踊った。覚醒剤法違反や窃盗で29人が逮捕され、橋Quaibrückeの近くで泳いでいた人々が排除され、交通法違反のボートは退去を命じられた。救急救命チューリヒのメンバー520人は729人を手当てしたが、そのうち4人は重傷を負っていた。祭典の広報担当者Stephan Epliは好天に恵まれたこともあり、多くの人々がチューリヒに集まり、人生を謳歌したことに大いに満足していると語った。公式の飲食品販売所では2023年以来、PETボトルとアルミ缶には預り金がかけられ、返すと返金される仕組みが取り入れられ、ゴミの減量に努めている。また、負傷の危険性があるため、ガラス瓶は禁止されており、訪問者にも持ち込まないように検査が行われた。Raveと呼ばれる参加者たち、組織者共に全体としては平穏理に行われたとして、成功だったと表明している。2024-08-12Street ParadeLove MobilesQuaibrücke
国民の祝日
今日8月1日はスイスの国民の祝日で多くのところでは花火で祝われるが、Baselでは昨日の夜、ライン河岸で既に花火が打ち上げられた。Basel市州警察の発表によると、9000人が集まり、公的私的な花火の夕べを楽しんだ。警察は目に見える形でパトロールしたが、それでも規則に従わない人がおり、人込みに向けて花火を打ち上げたり、殴り合いにをするなどの事例があり、警察が介入したが、一人の女性が警官に暴力をふるおうとして身柄を捕獲された一件を除いては概ね問題なく平穏だった。消防も出動は1件だけで、燃えるコンテナーを消火した。救急出動は7件で、その大部分はアルコールの過剰摂取による意識障害だった。民間救護団体は12人の軽い怪我をした人を手当てした。今日の本番では連邦大臣7人が延べ13の演説や挨拶を行うことになっている。280ほどの農家はブランチを提供し、10万人程が祝祭行事に参加する。前日に辞任のうわさが流れた連邦大統領Viola Amherdはそのスピーチでスイスの価値の擁護を訴えた。伝説のスイス建国の英雄Wilhelm Tellの町Altdorfでは多くの若者が彼が息子の頭に載せたリンゴを矢で打ち抜いた人という知識しかない状況を踏まえて、12か所に説明版が設置されたテルの道のお披露目が行われた。2024-08-01BaselViola AmherdAltdorf