受難と復活の音楽
今日でも聖金曜日と復活祭の日曜日にはオペラ劇場などは休みですが、受難週間には歌舞音曲が禁止されてきたためにその代わりに教会で演奏されてきたキリストの受難と復活をテーマにした音楽は数多くあります。しかし、どうも時期的な制約のせいでしょうか、テーマ自体のせいでしょうか、非常に有名な曲はあまり多くありません。 ここではまず西ヨーロッパの音楽を時代を追って幾つか紹介した後、東方教会いわゆるキリスト正教の音楽を紹介したいと思います。 さわりを聴けるということで、Youtubeを最大限に利用させていただきました。 一番下にはスイスのルツェルンで毎年開かれる復活祭音楽フェスティヴァルのホームページへのリンクを載せておきました。 オペラでは聖金曜日の音楽が有名な Wagnerの "Parsifal" などありますが、歌舞音曲御法度の聖金曜日と復活祭の日曜日には劇場を開くことが出来ないという理由から、当日には上演できないという皮肉な状況があります。
BUXTEHUDE Membra Jesu nostri
大バッハの50年程前に生まれた北ドイツの作曲家で、 姓はドイツのエルベ河畔の地名に由来するといわれます。 父親の代からオルガニストの家系で、生まれたのはおそらくデンマークであったといわれています。最初の音楽家としての活動もデンマークで後に、北ドイツのリューベックの銘器とされるオルガンを持つ聖マリア教会のオルガニストに選出されたことで国際的な名声を得る音楽活動が始まった。 独唱者、コーラス、オーケストラとオルガンのためのこの曲はキリストの体の各部分の名前を付けられた部分に分けられた特異なものです。
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COUPERIN 3 Leçons De Ténèbres
1668年に音楽家の家系に生まれたFrançois Couperinは多くの有名なオルガンを持つ教会のオルガニストを勤めましたが、やはりもっともその名声を高めたのはフランス王家の音楽堂であるChapelle Royaleの4人のオルガニストの一人となったことからでした。その音楽はルイ14世に高く評価されていたといわれます。Leçons de ténèbresは新約聖書の叙述の中での12人の弟子(使徒)から見離されたキリストの孤独を象徴する旧約聖書のテキストが使われたモテット集です。この題材はフランスの作曲家に好まれたと見られ、Marc-Antoine Charpentierなどの作曲家が名曲を残しています。
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BACH Matthäus-Passion
どうも受難と復活の音楽は他の分野とは違いカトリックよりもプロテスタントの方に名曲が多いようです。プロテスタント教会のために音楽活動をしていた作曲家で間違いなく最も有名なのはもちろんいわゆる大バッハです。数多い名曲の中でもこのマタイ伝受難曲はおそらく最も多くの人に聞かれた作品だと思われます。 特に日本では愛されています。
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HAENDEL La Resurrezione
宮仕えしなくても作曲家として生活の出来るロンドンを活躍の場としたドイツ人作曲家ヘンデルにはドイツで仕えていたハノーファー公が、英国王となってロンドンに現れておおいに慌てたという逸話がありますが、バロック時代の大作曲家であることには変わりはありません。曲は同じ作曲家の "メサイア" と比べると演奏されることの少ないオラトリオですが、キリストの復活を直接題材にしたものではおそらく一番有名です。
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HAYDN 7 Letzte Worte Jesu am Kreuz
いわゆつウィーン古典派の最初の大作曲家ハイドンはエスターハーズィー家のお抱え音楽家として一生を終えました。 題名とおり、新約聖書のイエスの言葉を主題とする"十字架上のイエスの7つの最後の言葉”はオラトリオ版と七つの弦楽四重奏セット版があります。
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PERGOLESI Stabat Mater
このイタリアのわずか26歳で夭折した天才はオペラの名曲と共にこの美しい曲も後世に残しました。 Stabat Materは"悲しみの聖母"と訳される宗教曲の一分野で、Vivaldiや Rossini にも有名な作品があります。
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WAGNER Parsifal
後期ロマン派時代のオペラ作曲家として余りにも有名なワ-グナーの最後のオペラは舞台神聖祝典劇と名づけられており、宗教的な色合いが非常に強い作品です。キリスト教ではなく、彼が終生、追い続けていた、おそらくケルト民族の残した北方神話を題材とする作品には多くの秘教的な要素が出てきます。 その中で、キリストの受難の日である聖金曜日の名前を付けられた音楽がことのほか印象的ですし、全曲を通じて漂う悲痛な雰囲気はやはり受難のイメージがキリスト新教徒として育ったワ-グナーには強くあったのだと思われます。
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MESSIAEN La transfiguration de Notre-Seigneur Jésus-Christ 我らの主イエス・キリストの変容
二十世紀フランスの最大の作曲家のひとりです。 その姓(Messie救世主に非常に近い)の所為でしょうか、宗教的な音楽をたくさん残しています。 鳥の鳴き声の収集や逆行不能リズムの考案などで有名です。
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PENDERECKI St Luke passion
"広島の犠牲者のための哀歌"で日本でも一躍有名になったこのポーランドの作曲家は宗教音楽の分野でも多くの作品を書いています。 このルカ伝受難曲はそのなかでも有名な大曲です。
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東方教会
さて、東方教会もビザンチン文化が西ヨーロッパよりも早く花開いたこともあり、 長い歴史を持っています。 その音楽も偉大な伝統を持ち独特の発達をとげました。 ギリシャからバルカン半島、近東そしてロシアが主な地域です。 ロシア正教は復活祭に限らず、聖日の日付が西欧キリスト教とは異なっています。
Russian Choral Music - Music of the Passion
ロシアの伝統的な受難の音楽です。 ご存知のように、ロシア教会は重厚なハーモニーの合唱の伝統を持っています。
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Russian Choral Music - Russian Easter
こちらは現代ロシアの作曲家の合唱音楽です。
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RACHMANINOV Vespers
偉大なピアニストで主にピアノ曲と交響曲の作曲家としても有名ですが、このロシア正教の儀式のために書かれた大曲も残しています。 大作曲家の作品としては演奏される機会が最も多い曲のようです。
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Lucerne Festivalヨーロッパ最大級の音楽フェスティヴァルは春のシーズンもあり、Spring Festivalという名前で開かれますされます。3月22日から24日までの3日間です。