EUの執行機関であるEU委員会は、もし、贈収賄と民主主義的制度に改善が見られなければ、ハンガリーへの分配金75億ユーロを削減することを決定した。改善には数か月の猶予が与えられているが、有力者、 Viktor Orban首相が本気で改革する気があるかどうかには疑問が出されている。Orbanは非リベラル民主主義を唱えており、それはすなわち、反対意見には配慮しないという専制的な立場を指している。野党の意見は政策には全く反映されず、政府の重要な契約についての情報は報道機関には知らされない。Orban支持を表明していない企業は公的機関からの受注は全くない。裁判官や検事は制度上は独立しているが、政府にとって重要な案件は捜査されず、判決は権力の意に沿ったものしか出されない。Orbanが作り上げているこのような仕組みにはカネが掛かる。国民がOrbanを選挙で選ぶのは、彼らが非リベラル民主主義を認めているからではなく、Orbanが巧みにカネを分配するからだ。例えば、あらゆるものが値上がりしている現時点では、ガソリンと特定の食糧に助成金が出され、それが回り回って与党の懐に入る仕組みになっている。その原資になるのはEUからの分配金で、ハンガリーはEUの意に適う改善を約束している。しかし、実際に行われるのは、贈収賄の仕組みを知らない人に改善策の策定が任せられ、警察や司法の助けがあてにできない状況で、殆ど意味をなさない、形だけのものだ。政府の権限はますます強くなるメカニズムの中で本当に改善が出来るのかに疑問を持つのは当然のことだ。2022-09-19 EU委員会Viktor Orban